JOURNAL

値上げのタイミングは、限界を超える前に決める

値上げのタイミングは、限界を超える前に、自分で決める。
その判断が、事業を続けていく道をつくります。

値上げをしたほうがいいのか、まだ早いのか——そういう迷いを抱えたまま、何カ月も判断を先送りにしている方がいます。

原材料費が上がり、人件費も上がり、このままでは続けられないと感じながら、お客さんが離れるかもしれないという不安が先に立つ。

値上げのタイミングは、単に価格を変える判断ではなく、自分の事業をどう続けていくかという経営判断そのものです。
価格を変える前に確認しておきたいことを、順を追ってお伝えします。

値上げのタイミングは、いつなのか

値上げのタイミングを探している方の多くは、すでに限界に近づいています。

原価が上がっているのに、価格は据え置いたまま。
人を雇いたいけれど、いまの売上では厳しい。
自分の時間を削って対応しているけれど、もう少し余裕がほしい。

そういう状態で、「値上げをしたら、お客さんが離れるかもしれない」という不安だけが先に立って、判断を先送りにしている。
けれど、先送りにしている間も、負荷は積み重なっていきます。

値上げのタイミングを考えるとき、私が最初に確認するのは、「いま、続けられる状態かどうか」です。
続けられないなら、それは値上げを検討する時期に入っています。

値上げの前に確認したい3つのこと

値上げを実行する前に、確認しておきたいことが3つあります。
この確認を飛ばして価格だけを変えると、思ったように結果がついてこない、という状態に入りやすくなります。

確認1: いま提供しているものの価値を、言葉にできるか

値上げをするとき、お客さんに伝えるのは「価格が変わる」という事実だけではありません。
この価格で、何を提供しているのか——その価値を、自分の言葉で説明できる状態にしておく必要があります。

あるクライアントは、値上げの前に「自分の仕事で、お客さんが何を受け取っているのか」を書き出してみたそうです。
技術や素材の話だけでなく、対応の丁寧さや、相談しやすい距離感、仕上がりの安心感といった、目に見えにくい部分も含めて整理していきました。
その作業を通じて、自分が思っていたよりも、提供している価値が多いことに気づいたと話されていました。

価値を言葉にする作業は、値上げの説明のためだけではなく、自分自身が納得して価格を提示するための準備でもあります。

確認2: 費用対効果を、自分の基準で見直しているか

値上げを考えるとき、同時に見直したいのが「いま使っている費用が、本当に必要なものか」という視点です。

広告費、サブスクリプションサービス、外注費、仕入れ先——続けてきたものを、一度立ち止まって確認する。
惰性で続けているものはないか。
もっと効率的な選択肢はないか。
自分でできることを、外に出しすぎていないか。

値上げは、収入を増やす選択肢のひとつですが、同時に支出を見直すことで、事業の体力を整えることもできます。
費用対効果を自分の基準で見直す作業は、値上げの判断と地続きの経営判断です。

確認3: 活動を絞り込んでいるか

値上げをするとき、もうひとつ確認したいのが「いま、何に集中しているか」です。

複数のメニューを並行して提供している。
複数の販路を同時に動かしている。
いろんな人に対応しようとして、対応範囲が広がりすぎている。

そういう状態のまま値上げをしても、負荷は減りません。
価格を上げる前に、活動をひとつに絞り込む——この判断が、値上げの効果を実感できるかどうかに大きく影響します。

値上げは、続けるための経営判断

値上げのタイミングを探している方の多くは、お客さんに申し訳ないという気持ちを抱えています。
その気持ちは、大切にしてほしいと思います。

けれど、値上げをしないまま続けられなくなってしまったら、お客さんにとっても、自分にとっても、良い結果にはなりません。
値上げは、続けるための経営判断です。

価格を変える前に、提供している価値を言葉にして、費用対効果を見直して、活動を絞り込む。
その確認を経て出した判断なら、お客さんにも、自分にも、納得のいくかたちで伝えることができます。

値上げのタイミングは、限界を超える前に、自分で決める。
その判断が、事業を続けていく道をつくります。

渡部忠

ロゴやパッケージ、Webサイト——デザインに関わることで迷っているとき、手がかりになればと書いています。もし具体的に動き始めたいと感じたら、下からご相談ください。

渡部 忠(わたなべ ただし)

デザイナー

  • STUDIO FELLOW — ロゴ・パッケージ・Web・グラフィック・ブランドのデザイン(2004年〜)

長野県安曇野市を拠点に、全国のクライアントと仕事をしています。

Webやグラフィックのご相談を受け付けています

CONTACT →