JOURNAL

ランチのパスタは段取りが9割|火を入れる前の10分が、皿の輪郭を決める

私と妻はそれぞれが自宅兼オフィスのため、週に3回は、私がパスタのランチを作っています。

長くやってきて気づいたのは、火を入れる前の10分で、その日のパスタの良し悪しの9割が決まる、ということです。

今日は、私が台所でやっている段取りを、そのまま書いてみます。
毎日料理をされる方は、お目汚し程度にご覧ください。

ランチのパスタは、火を入れる前の10分で決まる

平日の昼、仕事の手を一度止めて、11時40分頃に台所に立ちます。

冷蔵庫を開ける前に、エプロンをして、手を洗います。
それから、コンロのまわりを軽く拭いて、まな板を出します。
麺を茹でるフライパンと、ソースを作るアルミパンを出します。

麺を茹でるフライパンに20gの塩と、2リットルの水を入れ、火を付けます。
沸騰するまでのあいだに、ソースの材料を切ります。

冷蔵庫をあけて、
ソースは何にするか。
具材は何を入れるか。
皿は何を使うか。
食べたあとの片付けまで、ぼんやり描きます。
その時間、仕事のことがすっかり頭から抜けるので、リラックスタイムでもあります。

私の作るパスタは、4種類のソースを行ったり来たりしている

うちのパスタは、基本的に4種類のソースのどれかです。

オイル系。
バター系。
トマト系。
クリーム系。

具材に合わせてこの4つを行ったり来たりしているだけで、ランチのパスタは成立します。

エクストラバージンオリーブオイルを大きな瓶で1本、ゲランドの塩の顆粒、ニンニク、麺はディチェコの1.6mmのブロンズダイス(表面が荒い麺)1種類。
これが基本の構えです。

オイル系はこれとイタリアンパセリがあればだいたいできます。
トマト系はトマト缶とバジル。
バター系は無塩バター。
クリーム系は、生クリームの小パック。

あとは鷹の爪、アンチョビ、ケッパー(塩漬け)があれば、
缶詰や冷蔵庫の具材(ベーコンや野菜など)を見ながら、膨大なバリエーションのパスタ作りが可能です。

正直に書くと、この4種類に絞れるまでに、何年もかかりました。

本で見たソースを試したくて、色々なものを買ってきては余らせる、ということを繰り返していました。

ただ、ランチを長く続けるという目で見ると、4種類のソースを行き来するくらいで、ちょうど良いです。

冷蔵庫に余りがほとんど出ません。
買い足しに走ることもありません。
「今日はオイル系」と決めた瞬間に、頭の中の段取りも、ほぼ決まります。

火を入れる前にやっておく、5つの段取り

ここからは、火をつける前の10分で、私がやっていることを5つ書きます。
レシピというより、台所のなかの動き方の話です。

段取り1:鍋に水を張って、火をつける

沸騰までの数分を、ソースの材料を準備する時間と思っています。

段取り2:今日のソースを、最初に一つに決める

4種類のうち、どれにするかを決めます。

冷蔵庫を開けて「何があるか」を見てから決めるので、トマト系と思っていたけどもの足りないなと思ったら、別のソースにする、というようにしています。

段取り3:ソースの材料を、コンロの脇に並べておく

オイル系なら、ニンニク2かけとイタリアンパセリを切って、乾燥唐辛子1本と一緒に、パスタをよそう大きい平皿の上に並べます。

トマト系なら、トマト缶の蓋を開けて、200gをボウルに移しておきます。

麺を入れてから8分の間でソースを仕上げる段取りなので、麺を入れたあとにまな板で何かを切り始めるのは、避けたいです。

切るものは切る。
並べるものは並べる。
麺を入れたあとは、ソースづくりに集中する。

段取り4:麺をいれ、8分でソースを仕上げる

これが、いちばん楽しいところです。

ディチェコの1.6mmは9分の茹で時間なので、1分前を目安に茹で時間のタイマーを付けます。
タイマーが鳴るまでが、アルミパンにオイルとにんにくを入れてソースを仕上げていく時間です。

すべてにおいて、オイルとにんにくがスタートです。
アンチョビを効かせたいときは最初からオイルに入れ、風味をすこしソフトにしたいときはちょっと後に入れます。

ベーコン、オイルサーディン、あさりの缶詰など、タンパク質の具材と、質量のある野菜があるときは一緒にオイルで焼き付けて、焼き目がついたらパスタ湯をレードル1杯入れてアルミパンをガガガッとゆすって乳化させます。

トマト系やクリーム系の場合は、パスタ湯の代わりに入れて2割くらい煮詰めます。

その時点でパスタが茹で上がるまでまだ時間が余っているときは、ソースのアルミパンをコンロから外しておきます。

段取り5:タイマーが鳴ったら、ソースとパスタをあわせる

パスタが茹で上がる1分前にアルミパンの火をつけてわかし、そこにすこしかたく茹で上がった麺を入れ、1分ほど味を移すようにあわせます。

いろんな方法をやってみましたが、我が家では、麺とソースを思った以上の時間あわせる方法が、味が絡んで好みという結果になりました(それでもアルデンテに仕上がります)

書き出すとやることが多く見えますが、慣れてくると、ドリップコーヒーを淹れるくらいの感覚で作れます。
そして、火がついてからの動きは、手が動くのでほとんど頭では考えていません。
美味しいパスタが食べられる、という興奮だけが頭にあります。

段取りの感覚は、デザインの仕事でも同じかもしれない

私はこの段取りを、デザインの打ち合わせの前や、DTPやウェブサイトを構築する前にも、同じようにやっています。

何を聞くか、どの順序でレイアウトするか、何をしないか。

手を動かし始めてから整えるのではなく、火を入れる前に、皿の輪郭まで決めておく。

ランチのパスタも、仕事も、走り出してから整えようとすると、たいてい間に合いません。

渡部忠

ロゴやパッケージ、Webサイト——デザインに関わることで迷っているとき、手がかりになればと書いています。もし具体的に動き始めたいと感じたら、下からご相談ください。

渡部 忠(わたなべ ただし)

デザイナー

  • STUDIO FELLOW — ロゴ・パッケージ・Web・グラフィック・ブランドのデザイン(2004年〜)

長野県安曇野市を拠点に、全国のクライアントと仕事をしています。

Webやグラフィックのご相談を受け付けています

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