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競合と似ている、と感じたら?|差別化の前に見ておきたい3つの視点

同業のサイトを並べて見たり、価格表を見比べたりしているうちに、自分の店がどこと違うのか、急にわからなくなることがあります。

「競合 差別化 似ている」とネット検索される方の多くは、差を作る方法ではなく、自分の手元にある違いをどう見つけるか、で止まっているように思います。
今日はその順序の話を、ひとつずつ書いてみます。

競合と似ている、と感じるとき

たとえば、自分の店のサイトを直そうとして、同業10店ほどを一気に開いて見比べる。

メニューも、価格帯も、雰囲気も、似たり寄ったりに見えてくる。
自分の店だけが特別に見えない。
むしろ、よそのほうがきれいに見える。
——その状態で「強みは?」「他店との違いは?」と問われると、思考が止まります。

これは、店に違いがないわけではなく、見比べる順序が逆になっているだけ。

比較のために外観を先に並べてしまうと、自分の店の手触りがぼやけます。
似て見える要素ばかりが目に入って、違いの輪郭が見えなくなる。
差別化ができないのではなく、手元を見るより先に競合を見てしまったから、自分の店が遠くなった——そんな状態に近いと思います。

「競合と似ている」と感じる時点で、見比べる準備はもう半分できています。
あとは、見る順番を入れ替えるだけ。
外の景色をいったん閉じて、自分の店のふだんの一日を、もう一度見つめる。
そこから始めると、見えてくるものが変わります。

差別化できないと感じるときによく出てくる解決手段と、現場で起きやすいこと

差別化について調べると、出てくる解決手段はだいたい決まっています。

  • USP(自分たちだけの強み)を1行で言語化する。
  • 3C分析で、市場・顧客・競合を整理して、空白地帯を狙う。
  • 価格・品質・スピード・サポートの4軸で、どこに差を作るかを決める。

どれも、間違っていません。
ただ、ひとりや数人で店を回している現場で、これをそのまま進めようとすると、空欄を埋める情報が揃わない、ということが起きやすい気がします。

USPを書こうとしても、自分たちだけの強みが何かわからないから検索している。
3C分析で競合を調べれば調べるほど、自分の店がぼやけてくる。
空白地帯に合わせて事業を寄せていくと、ふだんの仕込みや段取りが自分のものでなくなってくる。

頭の中だけで差を作ろうとすると、店の手触りからどんどん離れていく。
フレームワーク自体が悪いのではなくて、考えを進める順番の問題だと思っています。

競合を見る作業は、たぶん最初ではない。
最初に進めたいのは、自分の店の手元を見つめることです。
そこに、競合と並べたときの違いが、もうある。
それを書き写してから外の景色を見直すと、フレームワークも自分のものとして使えるようになります。

競合との違いの見つけ方を、手元から考える3つの視点

ここからが本題です。
新しく差を作りに行く前に、すでに手元にある違いを見つける視点を、3つ書きます。
どれもふだん通り過ぎていることですが、はじめると、輪郭がはっきりしてきます。

視点1:リピーターが繰り返す言葉を書き写す

常連のお客さんが、来店のたびに繰り返す言葉があります。
「ここの〇〇が好きで」
「他の店だと、こうじゃないんだよね」
「△△さんがいるから来てる」
これは、競合と並べたときの違いを、お客さんがすでに言葉にしてくれている状態です。

あるクライアントから、こんな話を聞いたことがあります。
リピーターのお客さんが帰り際に「他のところで作ったやつは、3か月で剥がれちゃったんですよ」と話してくれた、と。
その方は、それを聞いたとき「ああ、自分はそこで違うんだ」とはじめて気づいたそうです。
本人にとっては当たり前すぎて、価値だと思っていなかった。
ノートを用意して、お客さんの声をそのまま書き写すところから始めてみてください。
要約せず、評価もせず、
ただ書き写す。

3か月もすれば、繰り返し出てくる言葉が浮かび上がります。
それがそのまま、競合との違いになります。

視点2:引き受けてきた仕事と、断ってきた仕事のラインを引く

長く続けてきた店には、引き受ける仕事と、引き受けない仕事のラインがあります。
その線は、たぶん明文化されていません。
でも、ふだんの判断としては、もう体に入っている。
「この依頼は、うちじゃないと思う」
「これは、うちでお受けします」
その線引きの基準を、紙に書き出してみてください。

うちはこういう仕事を引き受ける。
こういう仕事は断っている。
こういう依頼が来たとき、こんな理由でお断りした。

書いてみると、自分の店が大事にしてきたものの輪郭が見えてきます。
これは、競合がいくら調査しても見えない部分です。

外からは「やっているサービス」しか見えませんが、「やらないこと」の側に、続けてきた中で育った差がしまわれています。

視点3:ふだんの仕込み・段取り・後片付けを書き出す

朝、店に着いてから、お客さんを迎えるまでの動作。
注文が入ってから、商品が出るまでの段取り。
閉店から、翌日の準備までの後片付け。
ぜんぶ書き出してみてください。

「これは当たり前のことだから書くまでもない」と思った手間こそ、書く対象です。

仕入れ先まで毎週自分の足で行く。
仕込みの水を一晩寝かせる。
納品書の控えに手書きで一言添える。
看板を毎朝拭いてから店を開ける。

そういう、本人にとっては当たり前すぎる手間が、競合と並べたときに違いとして残ります。

派手な機能や、強い言葉で語られる「USP」よりも、こういう地味で律儀な手間の積み重ねのほうが、長く続いていく差になりやすいと思っています。

新しく作る必要はありません。
すでに毎日やっていることを、書き写すだけです。

ひとつの考え方として、差は作るより受け取り直すもの

ノートに書き写した言葉や、線引きや、ふだんの段取りを、テーブルに並べてみる。
その夜に、改めて競合のサイトを開いてみてください。
たぶん、見え方が変わっているはずです。

似て見えていた要素の向こうに、自分の店だけの輪郭が、薄く浮かんできます。
そこを起点にすれば、サイトの言葉も、ロゴも、価格表の見せ方も、無理なく整っていきます。

差別化は、競合を見て新しく作るものというより、すでに自分の手元にある違いを、見える形に置き直すことだと思います。

書き出した言葉は、いつでも開けるところに置いておいてください。
1年後にもう一度見ると、続けてきた中で育ったものが、また少し増えています。
そういう順番で進めると、急がなくても、続いていく差になります。

私がお仕事をお受けする際には、このような、お客様自身の輪郭を一緒に知ることからはじめます。もしなにかお悩みの中にいらっしゃる場合は、お気軽にお問い合わせください。

渡部忠

ロゴやパッケージ、Webサイト——デザインに関わることで迷っているとき、手がかりになればと書いています。もし具体的に動き始めたいと感じたら、下からご相談ください。

渡部 忠(わたなべ ただし)

デザイナー

  • STUDIO FELLOW — ロゴ・パッケージ・Web・グラフィック・ブランドのデザイン(2004年〜)

長野県安曇野市を拠点に、全国のクライアントと仕事をしています。

Webやグラフィックのご相談を受け付けています

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