庭にフェンスをDIYで作るとき、私が一番時間をかけるのは、板を張る作業よりも、基礎づくり。
今日は、フェンスを立てるときの段取りを、そのまま書いてみます。
フェンスをDIYで作るとき、基礎づくりだけは業者にお願いします
私の本業であるWebサイト制作やDTPの基礎フォーマットづくりは、すべて自分でやります。グリッドや余白の設計、スタイルガイドの整備。「基礎が決まれば、あとは確実」ということを、仕事のなかで身にしみて知っています。
だからこそ、庭のフェンスでも、基礎の大切さはよくわかります。
でも、レベル出しやモルタルを使う大物の基礎づくりは、いくらDIYとはいえ、自分でやろうとは思いません。
知り合いのプロにお願いして、横で見させてもらいながら、一緒に仕上げる。
それが基本です。
フェンスの板は、あとからいくらでも自分で張り替えられます。
でも、基礎は一度入れたら、簡単にはやり直せません。
だから、ここだけはプロに任せます。
立ち姿のすべては、地面の下で決まっています。
土の中で支柱の根元がどう固定されているか。
そこが、数年経ったときのフェンスの表情を決めます。
束石を地面に置くだけでは、傾いていく
ホームセンターのDIYコーナーに行くと、束石(つかいし)がきれいに並んでいます。
フェンス用のものは、コンクリートの台に支柱を差し込む穴が空いている、あの灰色のブロックです。
これを地面に置いて、支柱を差し込んで、固定する。
実際、夏の午後にひとつふたつ立てるだけなら、これで形になります。
ただ、長く立たせるという目で見ると、ここで止まらないほうが良いと思います。
特に長野の土は、冬に凍って、基礎を押し上げます。
地面の上にコンクリートの台を置いただけだと、その動きをそのまま受けてしまいます。
一年で1cm傾けば、二年で2cm。
風が吹くたびに、その傾きが少しずつ大きくなります。
穴を掘って、砕石を入れて、生コンで固める
ここからは、基礎の作り方を、横で見ながら覚えたことを書きます。
穴は、支柱の長さの3分の1を目安に掘る
地上に出す支柱が120cmなら、地面の下に40〜50cmを埋めます。
剣先スコップ(先がとがっている方)で土をゆるめて、穴掘り器(ポストホールディガー)で底の土をすくい上げる。
穴の直径は20〜25cmあれば足ります。
広く掘りすぎると、あとで入れる生コンの量が増えて、コストも作業時間も伸びます。
砕石を5cmほど敷いて、踏み固める
穴を掘り終えたら、底に砕石を5cmほど敷きます。
ホームセンターで売っている再生砕石(RC-40)で十分です。
これを穴の底に入れて、丁寧に踏み固めます。
砕石を入れる理由は、水を抜くためです。
雨で穴の底に水が溜まると、その水が冬に凍って、コンクリートを下から押し上げます。
砕石が一層あるだけで、水が下に逃げてくれます。
ここを省くと、数年後にコンクリートの根元にひびが入ることがあります。
生コンは、朝に練ってその日のうちに入れる
ここが、いちばん気を使うところです。
インスタントモルタル(水を加えるだけで使えるタイプ)ではなく、セメントと砂と砂利を配合して生コンを作ります。
袋詰めのインスタントタイプは配合が製品によってまちまちで、強度の確認がしにくいからです。自分で配合するほうが、材料の品質を把握しやすくなります。
配合はおおまかに、セメント1・砂2・砂利4。
昼を過ぎると気温で固まりはじめてしまうので、午前中の涼しい時間に作業します。
支柱を入れて、水平器で仮固定する
穴に支柱を立てて、生コンを流し込みます。
支柱が垂直に立っているかどうかは、水平器で必ず確認します。
気泡が真ん中に来るまで、何度も角度を微調整します。
支柱の周りを木材で仮固定して、生コンを上まで入れます。
ここから24時間は触りません。
翌日まで、フェンスのことは忘れます。
地味で律儀な作業ですが、この半日が、10年立ち続けるフェンスの中身です。
立てたあとに気になる場所が出てきたら、そのときに直しながら、長く使っていけば良いと思います。
基礎を作る感覚は、デザインの仕事でも同じ
私はデザインの仕事でも同じことをしています。
ロゴやサイトを作る前に、ヒアリングや方向性決めに半分くらいの時間をかけます。
お客様の事業の景色や、これまでの積み重ねや、ふだん大切にしていることを、ゆっくり聞いて土を掘っていきます。
板を張る前に、土の中で支柱の根元を決めておく。
表に出てくる形は、そのあとで決まっていきます。
走り出してから整えようとしても、庭のフェンスも、デザインの仕事も、たいてい後戻りできないことがわかっています。


