商品のパッケージを新しく作りたい、あるいは見直したい。
紙にしようか、樹脂にしようか、布や缶もあり得るのかもしれない。
素材の見本帳を眺めても、自分の商品にどれが合うのかは、なかなか見えてきません。
素材に迷うのは、商品に誠実に向き合っている証拠だと思います。
今日は、素材の見本帳を眺める前にリストアップしておきたいことを、ひとつずつ書いてみます。
パッケージの素材選びで迷うのは、選択肢の数より、中身との関係が見えにくいから
「パッケージ 素材 選び方」とインターネットで検索すると、紙・樹脂・布・缶・ガラスの素材表が並び、それぞれに強度・コスト・印刷適性・環境配慮といった項目が書かれています。
読み比べるほど、どれにも一長一短があって、決めきれないまま画面を閉じてしまう、ということがあります。
決め手が出てこないのは、素材の知識が足りないからではなく、判断の入り口を素材表から始めているからだと思います。
素材表は「どんな素材があるか」を眺める道具です。
けれど、自分の商品が何で、何を守りたくて、どのくらいの頻度で動かすのかが先に決まっていなければ、素材表は答えを返してくれません。
条件の細かさが、判断の不足を補ってくれるわけではないのです。
むしろ、項目が細かいほど、自分の手元の前提があいまいだと選びきれなくなる、というところがあります。
迷っていること自体は、悪いことではありません。
むしろ、商品の佇まいを大切にしたいという気持ちの現れだと思います。
まずは素材一覧を一度脇に置いて、入り口を一段手前に戻してみてください。
中身は何で、それをどう手渡したいか。
そこから始めると、素材の見本帳のひとつひとつが意味を持って目に入ってくるようになります。
パッケージ素材の主な種類と、それぞれの留保
「パッケージ 素材 種類」の文脈で、よく挙がるものを、ごく短くまとめておきます。
1つ目は、紙(板紙、コートボール、クラフト紙、段ボール)
加工がしやすく、印刷の発色も良い。
手触りに表情が出やすく、再生紙やFSC認証紙といった選択肢も広い。
一方で、湿気や水には弱く、食品の油分などでも変質することがあります。
2つ目は、樹脂(PP、PE、PETなど)
軽くて水に強く、透明にもできる。
袋やフィルムとして食品やコスメで広く使われています。
一方で、再生や分別の運用は地域や品目で差があり、薄さの違いで強度や開け心地も変わります。
3つ目は、布(コットン、リネンなど)
手に渡ったときの感触が静かに残る素材です。
一方で、コストは高めで、印刷の精度や量産のしやすさは紙や樹脂に届かない場面があります。
4つ目は、金属(缶、ブリキなど)
密閉性が高く、保存性に優れ、長く残ります。
一方で、初期金型のコストや重量、輸送費の面で、極小ロットには向きにくいところがあります。
5つ目は、ガラス
密閉性と質感の良さがあり、化粧品や食品の高単価帯でよく選ばれます。
一方で、割れる、重い、輸送に養生がいる、というハードルがあります。
これらは「どう包むか」の選択肢であって、「何を、どう手渡したいか」の判断はここからは出てきません。
素材の優劣ではなく、中身との相性と、続けて発注できるかを、先に見ておく必要があります。
商品パッケージの素材を絞り込むときに、書き出しておきたい5つのこと
商品 パッケージ 素材を絞り込むとき、見本帳を取り寄せる前に、伝えておきたいことが5つあります。
問1:中身は、どんな温度の商品ですか
食品なのか、化粧品なのか、工芸品なのか、雑貨なのか。
同じ「商品」でも、温度がまるで違います。
手作りの焼き菓子と、機械で量産する文具は、同じ紙箱でも合う紙の質感が違ってきます。
中身の温度を1行で書いてみてください。
問2:中身を守るために、最低限必要な機能は何ですか
湿気を防ぎたいのか、光を遮りたいのか、衝撃を逃したいのか、においを留めたいのか。
すべてを満たそうとすると、素材は重くなり、コストも上がります。
守るべきものを、ひとつかふたつに絞ると、素材の選択肢は自然に狭まります。
問3:半年から一年で、どのくらいのペースで発注しますか
同じ素材を、同じ仕様で、続けて確保できるか。
これは見落とされやすいところです。
流行りで選んだ特殊な紙が、一年後には廃番になり、同じ景色を続けられなくなる、ということが起こります。
続けて発注できる素材かを、最初に確かめておくと、後で困りません。
問4:お客さまの手に渡ったあと、どう扱われますか
捨てやすいか、再利用しやすいか、分別の負担が少ないか。
あるいは取っておきたくなるか。
地域の分別事情も合わせて見ておくと、お客さまの手間がひとつ減ります。
素材選びは、買ってもらった後の景色まで含めて決めるものだと感じます。
問5:触ったとき、開けたときの感触は、商品の世界観と地続きですか
ここはいちばん見落としやすく、いちばん効いてくるところです。
紙の手触り、樹脂のしなり、布の織り、金属の重み。
中身を取り出すまでの数秒で、商品の印象は静かに決まっていきます。
この5つに答えるだけで、素材の選択肢は自然に狭まり、見本帳のどこを見ればよいかが見えてきます。
素材を選ぶ作業は、機能とスタイルを比べる前に、そこに入れる中身との関係を書き出す作業だと、私は思っています。
ひとつの考え方として、中身に寄り添う素材を、続けて選んでいく
素材選びの良さは、新しいものに更新できることだけにあるのではありません。
中身に寄り添い、長く続けて発注できること。
お客さまの手元で過剰にならず、必要な機能だけを静かに果たすこと。
最初の包装を完成形と決めず、反応を見ながら少しずつ寄せていけること。
そのほうが、結果として商品の景色として静かに残っていきます。
正直、私もこの順序にたどり着くまでに、ずいぶん回り道をしました。
新しい素材を見つけては乗り換えたくなる時期もありました。
ただ、長く続いているお店や商品を見ていると、素材は派手ではないことが多い。
地味で、律儀で、中身と地続きの素材が、静かに選ばれている。
そうした包装は、年を重ねるほどに、その商品らしさを増していきます。
急がず、必要な分だけ。
中身に寄り添う素材を、続けて選んでいく。
素材選びは、そういう小さな判断の積み重ねだと感じています。


