会社案内のパンフレットを作るかどうか、見積もりの問い合わせをしようとして手が止まる、という話をよく聞きます。
WEBサイトはある、名刺もある、
それでも、パンフレットがないと、ふとした場面で不安が顔を出す。
けれど、本当に必要かどうかは決めかねている。
「必要かどうかわからない」という問い自体、相手のことを考えているから生まれるのだと思います。
今日は、見積もりを取りに行く前に確かめておきたい、3つの問いについて書いてみます。
会社案内のパンフレットは必要か、と迷うのは自然なこと
会社案内のパンフレットが必要かどうかを調べはじめると、結論を急いだ記事に多く出会います。
読みながら、なんとなく「やはり要るのかな」と思いつつ、自分の事業規模に対して大げさな気もしてくる。
その揺れは、当然のものだと思います。
WEBサイトに会社の情報をそろえているのに、もう1冊紙を作る意味があるのか。
逆に、紙でなければ届かない場面があるとしたら、それはどこなのか。
この2つの問いは、対立するものではなく、両立するものです。
正直、私自身もこの判断は毎回迷います。
デザインの仕事を長く続けてきて、
それでもクライアントから「会社案内、作ったほうがいいですか」と聞かれると、即答は控えるようにしています。
相手・場面・残し方が見えるまで、必要か不要かは決められない、というのが正直なところです。
ですので、迷っているという状況は、無理に消さなくて大丈夫です。
むしろ、迷えていること自体が、次の問いを丁寧に立てるための準備運動になっています。
会社案内の必要性を、用途で分けて見る
会社案内の必要性を考えるときに、まず効くのが「どんな場面で渡すか」を1つずつ書き出してみることです。
場面ごとに、紙が向く・WEBで足りる、の感触はだいぶ違ってきます。
営業先での初回訪問では、紙が手元に残ります。
打ち合わせが終わったあと、机に置かれたまま、別の人の目にも触れていきます。
採用の選考過程では、応募者の家族や周りの人にも回覧されます。
画面を共有するより、紙のほうが回っていきやすい場面です。
金融機関の融資相談や行政の補助金申請では、提出資料に添えるかたちで紙が求められることがあります。
担当者の手元に残り、組織内の検討に持ち回られていきます。
店頭やショールームでは、来店した方が持ち帰り、家でもう1度開いてくれます。
展示会では、その場で短く渡せる紙が、印象を後日まで運んでくれます。
一方で、日常の取引先への案内、SNSやリリース、ニュースレター的な発信は、PDFやWEBページのほうが軽く動きます。
更新の手間も少なく、伝えたいときに、伝えたい分だけ届けられます。
用途で分けて見ると、紙とWEBは敵ではなく、得意な場面が違う仲間のように見えてきます。
中小企業でパンフレット作成を決める前の3つの問い
中小企業がパンフレット作成を進めるとき、見積もりを取りに行く前に答えておきたい問いが、3つあります。
それぞれ、ノート1冊で書ける、シンプルな問いです。
問1:誰に渡すパンフレットか
営業先・採用・金融機関・店頭・展示会、どの場面で誰に渡すかを、1つずつ書き出してみてください。
1冊で全部の場面を兼ねようとすると、内容が広がりすぎて、誰にも届きにくい1冊になりがちです。
主な相手が2つに絞れたら、優先度の高いほうに寄せて構成を考える。
残る1つは、別の手段(WEBページ・PDF・名刺の裏面)に役割を分ける。
この整理をしておくと、ページ数も、紙の厚みも、自然に決まっていきます。
問2:どこに残ってほしいか
渡したあと、相手の机の上に残ってほしいのか、ファイルに綴じられてほしいのか、店頭に置いてあってほしいのか。
残る場所が違えば、サイズも、開きやすさも、変わってきます。
A4の3つ折りなら、机の上に置きやすい。
A4のパンフレットは、ファイルに綴じやすい。
A5やB5は、手に取って持ち帰りやすい。
「読まれてほしい場所」を仮置きすると、判型が1つに決まっていきます。
問3:何年使うつもりか
3年で内容を入れ替えるのか、5年は同じものを使いたいのか。
長く使うつもりなら、特定キャンペーンの数字や商品ラインアップは、本誌から外して挟み込みのチラシに分けるとよいです。
長く使う1冊は、流行に寄せた誌面より、事業の芯にあるものを静かに置いた誌面のほうが、結果として古びにくくなります。
短いサイクルで刷り直す前提なら、その都度の必要部数を絞り、刷り過ぎないことも、紙との付き合い方の一部だと思います。
3つとも、見積もりを取る前に決められることです。
ひとつの考え方として、紙とWEBを役割で分ける
会社案内のパンフレットが必要かどうかは、事業の規模では決まらないと思います。
誰に渡すか、どこに残ってほしいか、何年使うか。
この3つの答えが見えてくると、必要・不要の2択は、自然と「ここでは紙、ここではWEB」という役割分担に置き換わっていきます。
打ち合わせの帰り道に、相手の手元に紙が残っている景色を、ひとつ思い浮かべてみてください。
その景色がはっきり見えるなら、会社案内のパンフレットは、その人のための1冊として、たぶん作ったほうがよいです。
景色が浮かばないようなら、今は無理に作らず、その分の余白を別のことに使う選択も、自然なものだと思います。
紙とWEBは、競い合うものではありません。
得意な場面で、それぞれの仕事をするだけです。


