JOURNAL

から揚げの下味で毎回悩んでいた塩分計算から生まれた、1%塩分ツール

https://1percent-salt.studio-fellow.org/

から揚げの下味で、合わせ調味料の塩分計算にいつも面倒さを感じていた

ボウルの中で、鶏肉に醤油と酒とにんにくをもみ込んでいるときのことです。「これ、結局どのくらい塩気が入っているんだろう」と、ふと手を止めてしまうことがあります。塩ひとつだけならまだ計算できますが、塩と醤油、めんつゆまで合わせたいときは別です。どの調味料がどれだけ塩分を持っているのか、頭の中の足し算がどんどん怪しくなっていきます。

塩ひとつだけなら、総量の1%と覚えておけば済む話です。この1%という数字、実は人の体液や生理食塩水の塩分濃度(0.8〜0.9%程度)に近いのだそうです。舌はその濃度を自然と「ちょうどいい」と感じるようにできていて、から揚げの下味も、これを目安にすると味がすっと決まります。けれど、合わせ調味料になったとたん、話は途端にややこしくなります。醤油大さじ1は塩分何グラムなのか、めんつゆは、味噌は。そのたびにスマホで検索し、電卓を叩き、また手を洗って調理に戻る。あの、地味に手間な往復に、心当たりがある方は多いのではないでしょうか。

「おいしいパスタ」を作っている勢いで、もうひとつ作ってしまえと思った

ちょうどこの頃、私は「おいしいパスタ」という、パスタの黄金比を自動計算するツールを作っている最中でした。人数とソースの種類を選ぶだけで分量が出てくる、ブラウザ用ツールです。

パスタの計算画面を組み立てながら、ふと台所の別の場面がよぎりました。から揚げの下味をつけているときの、あのもみもみとした手と、途中で止まってしまう足し算のこと。「あれ、これも同じ話だぞ」と気づいたんです。総量に対して、目指す塩分の割合が決まっていて、そこから逆算して調味料の分量を出す。パスタの黄金比と、から揚げの下味の塩分と、やっていることの構造はよく似ています。

作り方の勘所がまだ手に残っているうちに、勢いのままもうひとつ作ってしまおう、と思い立ちました。こういうことは、少し時間を置くと「まあ今度でいいか」となりがちです。だから、パスタのツールを作り終えたその流れで、続けて手をつけることにしました。

「1%の塩分」でできること

そうしてできたのが、「1%の塩分」という計算ツールです。使い方は、材料の総量をグラムで入力するところから始まります。ここでいう総量は、水やだし汁、具材などを合わせた重さで、調味料そのものは含みません。次に、目指す塩分の割合を入力します。特にこだわりがなければ、デフォルトの1%のままで構いません。

そして、使う調味料を選びます。「メイン」と「サブ」の2段階から選べるので、塩だけの日はメインだけ、醤油とめんつゆも使う日はメインとサブ、と献立に合わせて組み合わせられます。「+追加」でさらに増やせるので、から揚げの下味のように3種類、4種類と混ぜたいときにも対応可能です。分量はメイン80%・サブ20%を基準に自動で振り分けられますが、この比率も好みに合わせて変更できます。

調味料ごとの塩分濃度は、設定画面から編集できます。同じ「醤油」でも、メーカーや商品によって食塩相当量は微妙に違うものです。自宅にある調味料のパッケージを見ながら、表示されている数値に合わせて設定しておけば、計算の精度がぐっと上がります。

いつかの夕食に揚げた塩から揚げ

使い方と、こんな時に役立ちます

使い方は、

  1. 材料の総量を入力する
  2. 目標の塩分%を確認する(迷ったら1%のまま)
  3. 使う調味料をメイン・サブで選ぶ
  4. 必要な調味料の量を確認する

という4つのステップです。

一番よく使っているのは、やはりから揚げの下味です。鶏肉の重さを入力し、塩と醤油をメイン・サブで選べば、それぞれ何グラムずつ使えばいいかがすぐに出てきます。味見をして塩気を確かめる、という工程がぐっと減りました。

塩分を控えめにしたい日は、目標%を0.8%に下げてみる、といった調整もその場でできます。

ひとつ、使う上で気をつけたいことがあります。加熱すると水分が蒸発するので、実際にでき上がったときの塩分濃度は、計算した数値より高くなる場合があります。また、チーズやベーコンのように、それ自体に塩分を含む食材を使うときは、その分も考えたうえで調整するのがおすすめです。あくまで「下ごしらえの時点での目安」として使ってもらえたらと思います。

から揚げの下味の、あの立ち止まりがなくなった

今では、鶏肉に調味料をもみ込みながら手を止めることが、ほとんどなくなりました。総量を入れて、メインとサブを選ぶ。それだけで、あの足し算の怪しさから解放されます。

もともと、大きなものを作ろうと思って始めたわけではありません。「おいしいパスタ」を作っている途中で、たまたま台所の別の場面を思い出しただけです。同じ仕組みが使えると気づいたから、勢いのあるうちに形にした。それだけのことです。

塩ひとつなら簡単なのに、調味料を組み合わせたとたんに面倒になる。あの感覚に覚えのある方が、もし他にもいらっしゃったら、「1%の塩分」覗いてみてもらえたら嬉しく思います。

渡部忠

ロゴやパッケージ、Webサイト——デザインに関わることで迷っているとき、手がかりになればと書いています。もし具体的に動き始めたいと感じたら、下からご相談ください。

渡部 忠(わたなべ ただし)

デザイナー

  • STUDIO FELLOW — ロゴ・パッケージ・Web・グラフィック・ブランドのデザイン(2004年〜)

長野県安曇野市を拠点に、全国のクライアントと仕事をしています。

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