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ロゴを変えるタイミング?|決める前に確かめたい、4つのこと

「来年で10周年、ロゴはこのままでいいのだろうか」と相談を受けることがあります。
周年が見えてきたり、店舗を移すことが決まったり、後継の話が動きはじめたり。
きっかけはそれぞれ違うのに、共通しているのは、「変えどきが分からない」という迷いです。
変えどきを考えること自体、お店や事業を大切にしているから生まれる問いだと思います。

今日は、「変えるべきか」の前に確かめておきたい、4つの視点を書いてみます。

ロゴを変えるタイミングが、気になりはじめるとき

ロゴが気になりはじめる瞬間は、人それぞれです。

周年が近づいてきた朝。
新しい店舗の見取り図を眺めているとき。
SNSの小さなアイコンの中で、自分のロゴが詰まって見えてしまった日。

きっかけは似ていても、揺れの中身はそれぞれ違っています。

揺れていること自体は、悪いことではないと思います。
お店や事業を大切にしているからこそ、視界に入ってきたものです。
何年も気にせず使い続けるのではなく、こうして手を止めて見つめる時間そのものに、意味があります。

困りやすいのは、揺れた直後にすぐ『変える・変えない』へ進んでしまうことです。
気持ちが熱いまま結論を出すと、1年後にまた同じ違和感が立ち上がってくることがあります。

最初の問いは、変えるかどうかよりも、もう少し手前にあります。
なぜ気になりはじめたのか。
どの場面で引っかかっているのか。
そのことばを、いちど自分の手で取り出してみる。

そこから、ようやく『ロゴを変えるタイミング』を考える入口が見えてきます。

変えどきとされる『よくある節目』と、その手前で考えたいこと

ロゴリニューアルの時期として、よく挙げられる節目があります。

  • 周年(5年・10年・20年)を迎えるとき
  • 店舗の移転や、新しい店舗の出店
  • 取扱う商品やサービスの方向が変わったとき
  • 後継や代替わりのタイミング
  • SNSなど、新しい見え方への対応が必要になったとき
  • 商標まわりを整理しはじめたとき

どれも、私自身が現場で出会ってきた節目です。
当てはまる項目があると、『やっぱり、いまが変更のタイミングなのか』と気持ちが少し急ぐかもしれません。

正直に言うと、節目があるからと動いてしまい、1年後に「もう少し待てばよかった」と感じた現場が、私にも何度かあります。
節目はきっかけであって、出発の合図ではないということに、現場を重ねながら気づいてきました。

ただ、節目があるからすぐ変える、と直結させないほうがよい場面があります。

節目はロゴを動かす合図というより、いまのロゴを見つめ直す機会のことです。
見つめ直したうえで、変える、整える、そのままにする――この3つから選び直す。
そういう順番で考えると、結論が変わってくることがあります。

『古く見えてきた』と思っていた印象が、ロゴそのものではなく、色や書体、写真の質感、紙の選び方にあった、ということも少なくありません。
その場合は、周辺のルールを整えるだけで、ずいぶん景色が変わります。

変えどきという言葉に急かされる前に、節目を『見つめ直す時間』として1度ほどいてみる。
それだけで、判断はやさしくなります。

自分の事業のなかで、ロゴを変えるタイミングを見極める4つの視点

ここからは、紙とペンだけで進められる話です。

視点1:事業の中身が変わってきたか

扱う商品、届ける相手、提供のしかた。
この3つのうち、2つ以上が変わってきているなら、いまのロゴが指している景色とのあいだに、少しずつ距離が生まれているかもしれません。
変わっていないなら、ロゴを動かさなくてもよい時間が、まだ残っています。

視点2:ロゴ周辺のルールが、バラついていないか

色、書体、写真の雰囲気、紙の質感、SNSでのトリミング。
これらが場面ごとに揺れていると、ロゴ本体ではなく『使われ方』のほうに、違和感の原因があることが多いです。
この場合は、リニューアルではなく、周辺のルールを整える方向に手をのばすほうが、結果として景色が早く整います。

SNSに投稿するたびに、色の比率が少しずつ違っていた——そういうことに、夜中にふと気づく方もいます。

視点3:いまのロゴで積み上がってきた手応え

覚えられている、写真に写る、お客さまの口に上がる。
そういう小さな手応えがあるなら、その認知は時間をかけて積もってきたものです。
変えることで、いったんゼロに戻る部分もある、ということを頭の片隅に置いておきたいところです。

あるクライアントから、こんな話を聞いたことがあります。
リニューアルしたあとに、長く通ってくれていたお客さまから『前のほうが、お店らしかった』と静かに言われ、しばらく胸の奥に残った、と。
図形を新しくすることと、認知を新しくすることは別の話だと、その日に気づかれたそうです。

視点4:次に使う『長さ』を決められるか

「何年使うつもりか」と聞かれると、意外と答えが出てこない——そういう状況、あると思います。

3年か、5年か、10年か。
これが自分のなかで決められないうちは、ロゴを動かすのは少し待ってもいいと思います。
長く使う前提が見えてくると、いま選びたい姿が、少しずつ定まってきます。

4つの視点を並べてみると、変える、整える、そのままにする、のどれが自分の事業の流れに合うか、少しずつ見えてきます。

ひとつの考え方として、節目に出会うたびに見つめ直す

ロゴを変えるタイミングは、カレンダーの上の節目だけで決まるものではないと思います。

事業の流れと、ロゴまわりの運用と、これまで積み上がってきた手応え。
この3つを、節目に出会うたびに見つめ直してみる。
そのうえで、変える、整える、そのままにするを、そのときの自分にあわせて選び直す。

新しく作り替え続けるよりも、節目ごとに手入れをしながら長く育てるほうが、お店や事業の景色に、ゆっくりと馴染んでいきます。

節目は、急いで答えを出す場所ではなく、立ち止まって見つめ直す機会だと思います。
変える、整える、そのままにする。
どれを選ぶかより、自分でちゃんと選んだかどうかのほうが、あとで効いてきます。

渡部忠

ロゴやパッケージ、Webサイト——デザインに関わることで迷っているとき、手がかりになればと書いています。もし具体的に動き始めたいと感じたら、下からご相談ください。

渡部 忠(わたなべ ただし)

デザイナー

  • STUDIO FELLOW — ロゴ・パッケージ・Web・グラフィック・ブランドのデザイン(2004年〜)

長野県安曇野市を拠点に、全国のクライアントと仕事をしています。

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